葵せきな先生書き下ろしTwitter小説

25【天道花憐とゲーム仮面】7月27日 掲載

ゲスト挿絵イラスト「57」さん

 今日も今日とて、小学五年生の私、天道花憐の部屋に彼女はやってきた。
「しゃきーん! ゲーム仮面、参上です!」
「こんにちは、シーナお姉さん」
「……ゲーム仮面です!」
「……こんにちは、ゲーム仮面」
「はいこんにちはです!」


 相変わらず面倒臭いお姉さんです。
 私はこの魔法少女の仮面を被った変態――じゃなくて優しいお姉さんに、にこりと微笑みかけます。
「で、今日は何するのですか、まふ――」
「ゲーム仮面!」
「……ゲーム仮面さん」


 隣の家に住む彼女とテレビゲームで遊ぶようになって、早一年。
 当初は「孤高の神童と優しいお姉さん」だった関係性が、今ではすっかり「ゲームの師匠を気取るヤバめのお姉さんとそれに付き合う優しい子供」に変化しています。


 彼女はレースゲームを起動させると、私にコントローラーを放ってきました。
「ふふ……今日は手加減しませんですよ、花憐ちゃん」
「いえ、いつもしてくれないじゃ――」
「あ、花憐ちゃん、外にUFOです!」
「子供相手にみっともない!」


「って、ああ!? しまった、お面の穴からだと画面が全然見えませんです!」
「これほど自業自得なことってあります!?」
 ゲーム仮面さんは、一時が万事この調子でした。
 大人げなくて、みっともなくて、ゲームに真剣で、そして……。


「わぁいっ、また私の勝ちですね、ゲーム仮面!」
「ぐぬぬぅ!」
 ……だからこそ、彼女とゲームに興じる一時が、私は心から大好きで。
「もう一戦ですっ、花憐ちゃん!」
「はいはい……」
「お面邪魔です! ぽいっ!」
「いいんだ!?」


 こうして私、天道花憐は、ゲーム仮面ことシーナお姉さんの影響を多分に受けた結果、
「ゲーム大好き」
「やる時はガチ」
「みっともない真似はしない(反面教師)」
 という、今のプレイスタイルを確立するに至ったのでした。

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